ついつい子どもに見せてしまうテレビやYouTube…。
果たして悪影響は本当にあるのでしょうか?
今回は、研究論文を元に「テレビやYoutubeによる子どもへの悪影響」を調べてまとめてみました。
ぜひ最後までご覧ください。

テレビが赤ちゃんに与える影響
・言葉の発達の遅れ
・親子のコミュニケーションの減少
・睡眠不足・睡眠障害(夜泣き)
・学びの機会損失
・攻撃的・暴力的になる
・視力発達による影響
何故テレビやビデオを長時間見せてはいけないの?
結論から言うと「有意語,言語理解,社会性,運動能力などの発達の妨げになる可能性があります。」
乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せてはいけません。
視聴時の親の関わりが少ない長時間視聴児では有意語出現が遅れる率が顕著に高く,そうでない児の2.7倍に達しています。
テレビは赤ちゃんにいつから見せて大丈夫?
生後すぐに見せても大丈夫です。
ただし、気を付けたいのがテレビの視聴時間や見せ方です。
社団法人日本小児科医会(2004年)では「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう」「1日2時間までを目安と考えます」と提言。
参考:「子どもとメディア」の問題に対する提言
日本小児科医会と見解と、WHOの見解は少し違うようです。
WHO(2019年)「5歳未満の子どもに対するガイドライン」では、0〜2歳未満は0分、3〜4歳は60分以内にするよう推奨。
参考|公益社団法人 日本WHO協会
WHOがメディア接触時間の目安を設けた主な目的は、じっとして動かない時間を減らし、運動不足を防ぐことです。
テレビの長時間視聴が赤ちゃんに与えるデメリット
1.言葉の発達遅れ
日本小児科学会は、長時間テレビを視聴することで言語や社会性の発達に悪影響を及ぼすおそれがあると発表しています。
子どもの言語能力は一方的に聞くだけでは発達しません。
1歳6ケ月健診対象児計1900名について調査を行い、内外の知見と併せて検討した結果。
テレビの長時間視聴は、1歳6ケ月時点における意味のある言葉の出現の遅れと関係があることが研究で分かっています。
視聴時間4時間以上の子どもでは、4時間未満の児に比べ、意味のある言葉の出現の遅れが1.3倍になっています!
また、子どもの近くでテレビが8時間以上ついている家庭の子どもで、言葉の出現の遅れ率が高いという報告も。
視聴時間の長さが多ければ多いほど、言葉の発達の遅れが見られることがこの研究結果から分かります。
子どもの長時間テレビ視聴による言葉の発達の遅れが高くなる原因
- テレビ視聴時間が長い
- 日常やテレビ視聴時に親子の会話が少ない家庭
テレビの健康影響について多くの親は視力への影響を心配しています。
しかし、言語発達への影響を心配している親は少ないみたいです。

むしろ言葉や知識を教えるために見せている親御さんもいるのでは…?
乳幼児の言語能力は大人との双方向の関わりの中で発達する
言語能力は人とのかかわりの中で成長していくものです。
赤ちゃんは2ケ月頃から機嫌が良い時によく発声するようになります。
3ケ月頃には人の怒りや優しい声などを区別して反応する、やがて喃語(言葉を話す前段階の声)を発するようになります。
2.親子のコミュニケーションの減少
でもうちはテレビを見せながら子どもと話してます!
という親御さんも多いのではないでしょうか?
長時間のテレビ視聴によるこどもへの見せ方(多様化)
- テレビを子ども1人に見せる
- テレビ見ながら親が子どもと一緒に歌ったり話しかける
- 子どもが親にテレビに対して質問する
一種のコミニュケーションとして子どもとのテレビ時間を楽しんでいるご家庭が多いのも事実…。
家事や育児で追われる中、忙しいとどうしてもテレビをつけて子どもの気を逸らせるなど、苦肉の策でテレビを付けているご家庭もあるのでは…?
テレビを見ながらのコミュニケーションもダメなの?
結論から言うと、視聴時に親が関わっても長時間の視聴はこどもに悪影響を及ぼします。
テレビを見ながらのコミュニケーションが悪影響を及ぼす理由
テレビを親と一緒に見ている時、子どもは好きなものが登場すると共感を求めます。
動作のまねをしながら親の顔をみたり、指さして質問するなど親によく働きかけます。
テレビを見ながら、親が一緒に歌ったり内容について話す家庭の子どもは視聴時の反応行動が活発です。
テレビで見た話の絵本を喜ぶなど記憶に残っていることも研究結果で出ています!
しかし…
テレビ視聴時には例え親子で一緒に見ていても、親の話しかけや親子が向き合って長く会することが少ない
つまりテレビが長時間ついていると会話が減少して言語発達の遅れを招きやすいという事です。
長時間視聴は視聴時に親が説明するなどの関わりがあっても、指さして質問するなどの親への働きかけは減少しません。
しかし、意味ある言葉の遅れは多いとの研究結果が出ています。
8~9ケ月では聞き慣れた特定の言葉に反応したり、何か欲しい時に声を出して大人を呼んだりするようになります。
この段階でも人との関わりが少ないと声の頻度や種類が少ないことが分かっています。
10ケ月頃からは大人の行動やものと言葉とを結びつけて理解するようになって言語理解が進み、ものと自分の発する音とも結びついてきます。
テレビを見ることで会話が減少、または子どもの顔を見て接する機会が少なくなる為、言語能力に影響を及ぼす可能性があります。
3.睡眠不足・睡眠障害(夜泣きの原因にも)
パソコンやスマートフォンの使用で気になるブルーライトですが、テレビの画面からも、弱いもののブルーライトは放出されています。
・懸念されるのが、ブルーライトが体内時計に与える影響です。
目には体内リズムを調整する役割があり、強い光を受けると朝が来たように感じます。
そのため、夜寝る前にブルーライトを浴びることで体内リズムが崩れ、眠れなくなったり睡眠が浅くなったりしてしまいます。
4.学びの機会損失
乳幼児期は言語発達に重要な時期
テレビからの情報は一方通行であり、次から次へと移り変わっていく場面や音声は、子供たちの脳には刺激が強いものです。
絶え間ない刺激を受け続けていると、子供たちは想像力を働かせたり、「自分ならこうする」といった思考をしなくなったりする可能性があります。
1歳6ケ月頃から大人の言葉を真似するようになって言葉の数が急激に増加します。
2歳になる頃から2語文を話すようになり、言語生活が確立していきます。
実体験を通して言葉を理解すること、子どもに分かりやすく話しかけ、子どもの話をゆっくり聞いて応えることが大切になってきます。
5.攻撃的・暴力的になる
視聴時間の長さはあまり影響しなくても、見せるテレビのプログラムは子供に大きく影響する場合があります。
暴力シーンが多い番組を見ていると、一時的に暴力的になってしまう子供もいます。
戦隊もののアニメなどを見て憧れるだけなら良いのですが、人や物を傷つけるようであれば、きちんと子供と話し合いをしながら見たほうが良いかもしれません。
見せるもの、見せないものの線引きをしっかりしましょう!
暴力的なシーンや過度に下品な内容、道徳的に問題があるものは、直接的に子供に影響を与えてしまいます。
極力見せないように大人が気をつけましょう。
もし、子供たちがそのような場面を目にした場合は、「どうしてこれは良くないことなのか」などと説明したり、話し合ったりするのが良いでしょう。
6.視力発達による影響(視力の低下・目の疲れ)
近距離で長時間の視聴は目に悪影響
こどもがテレビに夢中になる
↓
まばたきの回数が少なくなる
↓
ドライアイ・疲れ目になる
↓
視力低下につながる
ブルーライトは強いエネルギーを持った光で、光の感受性の強い子供は、大人よりも影響を受けやすいとされています。
長時間ブルーライトの光を見続ければ、もちろん子供の目には良くありません。
テレビの視聴距離の目安は、画面の高さの3倍とされています。
テレビを見るときは適正な距離をとり、一定時間見たら目を休ませることを心掛けましょう。
赤ちゃんや子供にテレビを見せるときは知育DVDもダメ?影響は?
言語発達に遅れが生じるリスクについてですが、知育系のDVDなども当てはまります。
愛情で実施しているとは思うのですが…
知育DVDが赤ちゃんのIQを高めるという研究結果は今のところ出ていません。
【2010年11月4日】幼児に言葉を教える知育DVDを見せても、見なかった子に比べて語彙(ごい)が増えるわけではないという研究結果が3日、心理学専門誌「サイコロジカル・サイエンス」に掲載されました。
バージニア大学とバンダービルト大学の研究チームが、生後12か月から18か月までの幼児を対象に知育DVDの効果を調べています。
むしろ1日に1時間、知育DVDやビデオを見て過ごした赤ちゃんは、一切テレビを見ていない赤ちゃんに比べて、理解できる単語の数が平均6語~8語少なかったことも別の研究で判明しています。

言葉に関しての研究になるので、他の発達に関しては良い影響もあるかもしれません。
赤ちゃんによい影響を与える上手なテレビとの付き合い方
現代社会でテレビ、ビデオ、動画…メディアに触れない機会を持つのは大変難しいと思います。
“日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会”から具体的な方法を提言されています。
子どもと家庭のテレビ・ビデオ環境・正しい利用方法
1.2歳以下の子どもには,テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょう.
(内容や見方によらず,長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります.)2.テレビはつけっぱなしにせず,見たら消しましょう.
3.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう.
(見せるときは親も一緒に歌ったり,子どもの問いかけに応えることが大切です.)
4.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう.
5.乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう.
(見おわったら消すこと.ビデオは続けて反復視聴しないこと.)
6.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう.
引用:「日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会」より
テレビやYoutubeによる子どもへの悪影響は?研究論文を元に解説|まとめ
・言葉の発達の遅れ
・親子のコミュニケーションの減少
・睡眠不足・睡眠障害(夜泣き)
・学びの機会損失
・攻撃的・暴力的になる
・視力発達による影響
何気なく見ていたテレビがこんなにも子どもに影響があるとは驚きでした…。
テレビを見ることへの影響をしっかりと理解し、上手にテレビと付き合っていけたらいいですね!
ではでは!
